3万2000トンの廃プラは“ごみ”なのか?
豊橋市が判断しない本当の問題
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今回の「豊橋・廃プラ問題」については、YouTubeでも詳しく解説しています。
文章より動画で見たい方、現場の状況や私の考えを直接聞きたい方は、ぜひこちらからご覧ください。
豊橋市内で、大量の廃プラスチックが野積みされている問題があります。
事業者側は、野積みされているものについて「廃棄物ではなく、有価物・原料である」と主張しています。
一方、住民側は、長期間の保管や崩落、飛散、臭いなどを目の前にしながら、
「本当に資源として使われるのか」という不安を抱えています。
この問題を、単純な「事業者 対 住民」という構図で見てはいけないと私は考えています。
一番重要なのは、豊橋市が何を確認し、どう評価し、なぜ現在の判断に至っているのか。
その根拠を、市民にも分かる形で説明することです。
私がこの問題に関わったきっかけ
私はこれまで、事業者側からも説明を聞き、住民側からも相談を受けてきました。
最初、住民の方々は地元の県議会議員に相談したそうです。
その際、「この件には触らず、そっとしておいた方がいい」という趣旨の話をされたと、住民の方から私は聞いています。
私はその場にいたわけではありませんので、あくまで住民側から聞いた内容です。
その後、困った住民の方々が私のところへ相談に来られました。
当時、私は議員ではありません。
ただ、「過去の議員経験や、行政との向き合い方が役に立つのであれば、使い倒してください」
とお話しし、相談に乗ることになりました。
その後、同じ課題を抱える自治会長が集まり、個人ではなく、会として情報を共有しながら活動する形になりました。
私も現在、その会の顧問を務めています。

まずは事業者側にも解決案を提案しました
住民側も、最初から事業者との対立を望んだわけではありません。
会として、事業者側に三つの条件を提案しました。
① 住民説明会を開くこと
② 油化装置の完成時期と、廃プラが減っていく工程表・事業計画を示すこと
③ それまでは今以上に野積み量を増やさないこと
この三つが示されるのであれば、油化装置が実装されるまで、会として一時的に活動を休止する案まで提案しました。
しかし、この提案は受け入れられませんでした。
その後は、陳情や環境省へのヒアリングなど、制度の中でできる活動を続けています。

最大の争点は「ごみ」か「資源」か
この問題の最大の争点は、
野積みされている廃プラスチックが「廃棄物」なのか、それとも「有価物・原料」なのか。
という点です。
見た目が廃プラだからといって、自動的に法律上の廃棄物になるわけではありません。
一方で、事業者が「有価物です」と主張すれば、それだけで有価物になるものでもありません。
行政は、複数の要素を総合的に確認して判断します。
これが、環境省が示す「総合判断説」です。
豊橋市も、事業者の「有価物」との主張について、過去の調査を踏まえ「事業者の有価物との主張を否定できない」とする認識を示しています。
だからこそ、市民が知りたいのは、
「その有価物か廃棄物かしりたい。」ということです。
それを決める仕事が、市役所の仕事なんですが・・・。

総合判断説の5つの視点
大きく分けると、確認すべきポイントは五つあります。
① 物の性状
本当に原料として使える品質なのか。有害物のおそれや、不適切な物の混入はないのか。
② 排出の状況
需要に沿って排出されているのか。定期的な搬出があるのか。利用計画は具体的なのか。
③ 通常の取扱い形態
同じような物が一般的に原料として扱われているのか、それとも廃棄物として処理されるのか。
④ 取引価値の有無
実際に取引価値があるのか。事業として経済合理性があるのか。
⑤ 占有者の意思
本当に将来利用する意思があり、具体的な計画や契約があるのか。
このような複数の観点から総合的に評価するのが行政の役割です。
私は、
豊橋市が、この五つをそれぞれどう確認し、どう評価したのか。
そこを市民に説明してほしいと考えています。

長期間置かれていても「原料」なのか
住民が不安を感じている理由の一つが、長期間の保管です。
雨や紫外線にさらされる。
形が崩れる。
一部が崩落する。
飛散や臭いへの不安もある。
実際、西山町では梱包体の一部が崩落し、内容物が道路側へ散乱したことも報じられています。
ただし、
「長期間置いてある=自動的に廃棄物」
ということではありません。
だからこそ、
本当に需要があるのか。
品質管理がされているのか。
いつ利用する予定なのか。
長期保管による劣化を行政はどう評価しているのか。
一つ一つ説明する必要があります。

「有価物」なら経済合理性も確認してほしい
私は、経済合理性も非常に重要なポイントだと思っています。
本当に有価物として継続的な事業が成立するのであれば、数字で確認できるはずです。
例えば、
仕入れ価格。
運搬費。
保管費。
油化装置の設備費。
電気代。
人件費。
処理能力。
そして販売価格。
これらを踏まえ、
本当に事業として成立するのか。
行政には、事業者の説明だけでなく、数字を含めて客観的に確認してほしいと思います。

油化装置はいつ完成するのか
事業者側は、廃プラスチックを油化し、再資源化していく計画を説明しています。
私は、再資源化そのものに反対しているわけではありません。
本当に実現し、大量の廃プラが減っていくのであれば、一つの解決策です。
ただ、私がこれまで受けてきた説明では、およそ2年前には完成・実装するとされていたものが、現在は来年度以降とされています。
では、
豊橋市はいつまで待つのでしょうか。
さらに延期された場合はどうするのか。
もし完成しなかった場合、誰が、いつ、どう処理するのか。
行政として出口を示す必要があります。

なぜ国の技術者派遣制度を使わないのか
もう一つ、私が大きな疑問を感じているのが、国の技術者派遣制度です。
2026年9月の豊橋市議会では、市が今年度は同制度を利用しない考えを示したことが報じられています。
※他の案件では豊橋市はこの派遣制度を活用した経験があります。
豊橋市の現在の整理は、
「現時点で、事業者の有価物との主張を否定できない」
というものです。
だからこそ、市民が知りたいのは、
豊橋市が何を確認し、どう評価した結果、その判断に至ったのか。
ということです。
判断が難しいのであれば、国の専門家の力を借り、技術的な評価を受ける方法もあるはずです。
私は、
「判断が難しいから専門家を呼ばない」
のではなく、
「判断が難しいからこそ専門家の力を借りる」
べきではないかと考えています。

将来の行政代執行も考えておく必要があります
将来、もし行政代執行などによって撤去することになった場合、国の財政支援との関係も考えておく必要があります。
行政代執行にて必要となる処理費用(税金)は、役30億円にも・・・。
技術者派遣制度を利用しなければ、必ず国の支援が使えなくなる、と断定できるものではありません。
ただ、
豊橋市長が職員に指示をして適切に調査してきたのか。
必要な対応をしてきたのか。
国と連携してきたのか。
こうした点が後から問われる可能性はあります。
だからこそ、問題がさらに大きくなる前に、専門家の意見を聞き、行政として調査と判断の記録を残しておくことが重要だと思います。
事業者対住民ではない
私は、この問題を、
「事業者対住民」
という単純な対立にしてはいけないと思っています。
事業者には事業者の主張があります。
住民には生活環境への切実な不安があります。
その間に立ち、
法令と事実に基づいて判断するのが行政です。
豊橋市が、
何を調査したのか。
何を確認できていないのか。
総合判断説の五つの項目をどう評価したのか。
油化事業の実現可能性をどう評価しているのか。
そして、
なぜ「事業者の有価物との主張を否定できない」という判断になったのか。
そこを、市民にも、事業者にも、住民にも、分かる形で説明してほしいと思います。

私が豊橋市長に求めたいこと
求めていることは、複雑ではありません。
総合判断説の5項目をどう評価したのか。
有価物との主張を否定できないとした根拠は何か。
油化装置の実現可能性をどう確認しているのか。
経済合理性をどのように検証したのか。
国の専門家を使わない理由は何か。
こうした点を、分かりやすく説明してほしいということです。
私は、事業者を一方的に悪者にしたいわけではありません。
住民側の主張がすべて正しいと言いたいわけでもありません。
だからこそ、
行政が判断し、行政が説明し、行政が動く必要があります。
この問題は、誰かを攻撃することで解決する問題ではありません。
行政が根拠を示し、市民が納得できる形で前に進める。
それが必要だと考えています。